ラウール・ゴンザレス

何かすごいものがあるわけではない。見栄えのする選手ではない。この印象は今も変わっていないが、とにかく素晴らしい選手だと思う。

文才が無いので上手くは書けないが、難しいことをせずともゴールを決める方法を知っている選手とでも言おうか。動き出しからフィニッシュの瞬間までに無駄が無く、最小限度の力でゴールを決めているような印象がある。
かといって怠ける選手ではなく、他人のためにも働け、監督からすれば非常に使いやすい選手で、評価は常に高かった。2002年までは・・・。

名将カペッロに「ペナルティエリアの毒蛇」と呼ばれたラウールは、日韓W杯での故障から一気に下降線を下っている。ゴールを決めるだけしかないロナウドの加入で、ゴールを決める以外の仕事が増える。更に、若い頃から世界最高峰で戦ってきたツケなのか、蓄積疲労により精彩を欠く。
自分の事で必死にならなければいけない状況で、長年クラブ、代表でリーダーを務めたイエロが退団。世界最強クラブのキャプテンとして世界中のサポーターやサッカーファンのプレッシャーを、加えて2002年をもって代表引退したイエロの代わりにどの大会でも優勝候補に挙げられ、更に複雑な民族対立まであるスペイン代表のキャプテンまで務めることになる。

こんな状態の彼に、全盛期のようなパフォーマンスを求めるのは余りにも酷なのかもしれない。
だが、代表での最多得点記録やカップ戦の得点記録などを持つ生粋のゴールハンターにこのまま終わって欲しくはない。

ラウール、移籍しろ。

チェルスキーからの破格のオファーがあったとき、自分は無いとは思いながらも移籍を密かに願った。
今もチェルスキーは移籍の可能性を示唆したら動くだろう。ベルカンプが引退間近なのだ。アーセナルでもいい。とにかく、攻めのメンタリティを彼には取り戻して欲しい。